ASTRO BOY 鉄腕アトム アトムハートの秘密


21世紀、世の中のアトムフィーバー(?)に押されるように発売された1本のゲーム。

誰もが単なる便乗商品だと思ったそのソフトには今のゲームが忘れてしまったいろんなモノが詰まっていたのです。

ゲームにある程度詳しい人ならセガから出るという時点で期待などしていなかったと思います。

しかし開発はセガではなくなんとトレジャー。

トレジャーと言えばガンスターヒーローズ、エイリアンソルジャー、シルエットミラージュ、レイディアントシルバーガンなどの本格的なゲームが多々世に出しており、ゲームの好きな人からは多大な支持を受けているゲーム会社です。

僕が鉄腕アトムがトレジャー製なんじゃないのかと思ったのは新作ゲームの体験会で触った時でした。

遊んだ感じがなんかシルエットミラージュに似ていたのです。

あとは、トレジャー久々のアクションということで注目していたわけです。

そのような感じで発売を迎えたこのソフト、内容は見事なまでのアクションとシューティングでした。

プレイヤーが操るのはもちろんアトム。

ボタンの1つ1つに役割を持たせることによりレーザーを撃ったり、キャノンを撃ったり、マシンガンを撃ったり、ジェットで飛び回ったりとものすごく爽快感のあるゲームになっています。

そして物語の核となるのがタイトルにもある、『アトムハート』でこれはゲーム中にアトムが出会ったキャラ(手塚漫画のキャラ)の心を理解する事によりアトムハートと呼ばれるマス目が埋まり、ライフアップ、パンチ力アップ、キャノンの威力アップ、マシンガンの威力アップ、ジェットの連続使用回数アップ、見えないものが見えるようになるセンサーアップとポイントを振り分けることができるようになります。

しかし、中には何度か出会わないと心を理解できないキャラが居たりしてその全てを埋めるのは一筋縄ではいきません。中でも『写楽 保介』なんてファミコン時代のゲームを触っていた方なんかは目からウロコなんじゃないでしょうか。

そして、『アトムハート』のところで説明しましたがこのゲームには数多くの手塚キャラが出てきます。

しかしですね、こう聞くとただ無理やり出しただけだろとか思う方もいるでしょうがそのほとんどが無理があるどころか手塚治虫の新作漫画を読んでいるんじゃないかと思えるぐらいにぴったりと話にハマっているのです。ちなみに僕はまともに読んだのはブラック・ジャックぐらいですがこのゲームを遊んだことで他の漫画も読んでみたくなるほどになりました。

例えば火の鳥を出す事でステージセレクトという単なるゲームシステムをストーリーに組み込んむことに成功しているのです。これには驚かされました。

ここまで話が出来ているなら中身はどうなんだと思うでしょうが、そこはもちろんトレジャー、簡単そうで奥の深い見事なまでのゲーム性を秘めたアクションゲームに仕上がっています。

ゲームは大きく分けるとアクションとシューティングに分かれます。

アクションは画面ごとに現れる敵を全滅させると先に進めるという固定戦闘タイプでボス戦が多めです。

シューティングは弾幕飛び交う中、敵を倒していくオーソドックスなものからただ避けてるだけに見せかけて実はカスリスコアアタックという分かる人にしか分からないものまで用意されております。

アクション、シューティングの両方で使えるのが飛んでる間は無敵という『ジェット』です。
これを使いこなすことこそが上達への第一歩だと思います。

しかし、シューティングパートにおいてはもっと重要な役割を持っています。

それはこのゲームの最大のやり込み要素であるスコアアタックに関わってくるのです。

このゲームはクリアして『ハイ、おしまい』ではないのです。

それはもうブロック単位でのスコア&タイムアタックが出来るようになっているのです。

スコアの算出方法は連続で攻撃すると倍率が上がっていく方式で普通にやっていても倍率は4倍で止まってしまいます。しかし、『ジェット』を使いこなすことで最高10倍まで上がるようになるのです。

アクションパートの場合は敵を攻撃している間にジャンプボタンを押すと前にジェットで追い討ちをかけ、そのまま続けて攻撃すると倍率がさらに4つ上がるのです。進行方向の逆に追い討ちがしたければその方向とジャンプボタンを押せばいいのです。

この方法を知らなければ倍率は4倍でストップするのでスコアにたいした差は生まれないでしょうがこれが10倍となると1発600のパンチですら6000です。当然スコアにも大きな差が生まれるでしょう。スコアアタックが好きな人はのめり込む事間違いないでしょう。

次にシューティングパート、レーザーの威力がない時なら10倍までいったのを確認した人はいるでしょうが、威力が上がると2倍にすらならないので弱いレーザーの10倍よりも強いレーザーの方がスコアが入らないなんてシューティングパートでのスコアアタックは無理だと思って遊んでいない人だっているかもしれません。

そこで役に立つのが『ジェット』なのです。

レーザーを撃ちつつにダッシュした後にレーザーを当てた時にのみ、倍率が上がるのです。
もちろんこの時にダメージを受けると倍率はリセットされます。

これを使えばシューティングパートでのスコアアタックに入る力も強くなるってもんです。

いかに無駄なく早く10倍まで上げて、ダメージを全く受けず、余計なダッシュをせずに弾幕を潜れば潜るほどスコアがうなぎ上りなんですから。

これはシューターなら誰でもハマるのではと思います。

そして、このゲームはとても難しいです。『かんたん』と『むずかしい』しかないです。

しかし、やればいつかは必ずできるという昔ながらの『死んで覚えろ』という絶妙なバランスで出来ているので慣れれば簡単に進めるようになります。どんなに強いボスだっていつかは必ず倒せます。

このように昔ながらの『ゲームの良さ』がたくさん詰まったこのゲーム、昔のゲームが好きな人ならいつまでだって遊べるのではないのでしょうか。

残念ながら全く売れてない(3000本程度)ので欲しいと思ったら店頭にあるうちに買っておくことをオススメします。

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